東成区の「持続可能なまちづくり」を目指して!

On 11月 5, 2019, Posted by , With 東成区の「持続可能なまちづくり」を目指して! はコメントを受け付けていません。

「ひがしなりソケット」は今年もスタートしています

 ひがしなりソケットは、ものづくりの街として知られる東成の様々な企業や団体などが持つ知見やリソースをいかし、まちの活性化や世界全体で取り組みが求められる「持続可能な開発目標:SDGs」の達成につながるアクションを生み出し、“ひがしなり” という舞台で育むプロジェクトとして2018年にスタートしました。住民や企業、NPOやNGO、その試みに共感する様々な協力者と共に、“ひがしなりを明るく照らす” アイデアを考え、学び、みんなで実験していく場です。

 2019年6月23日には、ひがしなりソケットの第2期プログラムのキックオフが開催され、同区や大阪・関西はもちろん、全国から集まった40名以上もの参加者が今年度のスタートに集まりました。

当日は東成区の麻野区長からプロジェクトの趣旨説明が行われ、プログラムがスタートしました。

麻野区長

東成は、ものづくりのまちとして全国的にも多い企業数や戦前から続く老舗企業などが特徴的です。最近は社会参画意識が高い事業者も増えています。企業にとっても、より長期的な存在意義や社会における持続可能性を問うような動きが強くなっています。世の中に役立つ技術や資源を持っている存在として、その活用を改めて考え始めている事業者も多くなってきていて、企業はもちろん、地域への貢献や社会貢献、SDGsに関心がある東成の皆さんの気持ちを巻きこみながら、持続可能な東成をみんなでつくる輪を広げていけたらと思っています。

 
 現在、世界では「持続可能な社会」の実現にむけて国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)のもと 2030年までに達成したい17の目標を設けられ、国や地域、分野をこえた積極的な行動が期待されています。東成区でもSDGsの6つの目標(*1)の達成を掲げ、マルチステークホルダーでの立場や分野をこえた協働、地域の高齢化や多国籍化などの時代変化への柔軟な対応、民主導や地域にひらいたまちづくりなどをキーワードとして、持続可能なまちづくりの実現にむけたアクションが改めて動き出しています。

[*1] 東成区の掲げるSDGs7テーマ:「7番:エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「8番:働きがいも経済成長も」「9番:産業と技術革新の基盤をつくろう」「11番:持続可能なまちづくり」「12番:つくる責任つかう責任」「13番:気候変動に具体的な対策を」

 最近は「SDGs」や「持続可能性」といったフレーズや関連の議論を耳にする機会もより多くなってきました。休日の昼下がり、大阪の会場に集まった皆さんはどんなきっかけから当日参加されていたのでしょうか。参加された皆さんの自己紹介などからは…

「自分の住むまち(東成)に貢献したくて、何かできることがあればと思い参加した」
「東成で頑張る事業者の話を聞きたくて!」
「昨年から始まったプロジェクト(第1期プロジェクト)を知って」
「最近、SDGsの存在を知ってより勉強したいと思って」

などなど、地元東成への愛着から、SDGsへの関心まで幅広い関心が集まっている様子でした。

「自分のまちが良くなるために何かやりたい」
「持続可能な社会にむけてできそうなことを探したい」
「関心はあるけど、一人じゃ不安だから仲間が欲しい」
 
 会場に集まったそんな気持ちを応援し、参加者が「自分ごとの次の一歩」を考えられるように、
当日は、ゲストからの事例紹介やアドバイス、また「ひがしなりソケットLAB. 1期生」からの活動報告が行われました。

 地元、東成を拠点とする株式会社コクヨの坂本崇博さんからは、働き方コンサルタントとして活躍される経験をもとに、SDGsをいかに自分ごとに捉え・行動するかに役立つアドバイスが。
 

坂本さん

働くことに影響するモチベーション理論や脳科学的な視点だと、人は嬉しい時や興奮する時に、脳内でドーパミンが放出されモチベーションが向上することがわかっています。
これまで「働く」ということについて企業では、金銭的な報酬ばかりに目が向けられてきましたが、状況が変わってきています。社会や世界に貢献する、世の中に役立つということにモチベーションが上がる人も多くなっています。日常の仕事を俯瞰して、SDGsという枠組みに照らし合わせた時に、必ず何か世の中に貢献していることが見つかると思います。自分の仕事がSDGsの達成や、世の中を良くすることに繋がるという意識を普段の仕事に落とし込めれば、企業や個人にとっても金銭的報酬に頼らない「報酬」として、モチベーションの向上や維持に繋がると思います。そして日常の仕事を、より「自分ごと化」できれば、仕事を「志事」として捉えられるようになり、新しいチャンスにも繋がると思います。
また、SDGsに注目することで、世の中の状況に意識が向けられ視野も広がります。企業にとっては、新規事業開発の種としてもポジティブな効果が期待できると思います。

続いて、有限会社美里在宅支援事務所の一川大輔さん。一川さんは、地元熊本県の水俣・芦北地域で、ひがしなりソケットのようなプログラムに参加したことがきっかけで、気づけば本業の作業療法士の枠をとび超え、地域で仲間と様々な活動を行うようになったと話します。

一川さん

 地元で作業療法士の仕事をしていて様々な研修や勉強会に参加するうちにインプットばかりが多くなって、現場の実感がわからなくなった時がありました。解決策を求めて職場や職域をこえてアウトプット機会を探すうちに、ある時、本業の介護保険事業だけをしていても解決しない状況があることに気づきました。例えば、介護保険の利用者さんが元の生活や街に戻った時に、地域の街や生活環境がそもそも破綻していたらもったいないと。そう思ったら、介護の分野をこえて自分にできることを探すようになっていました。
その時に地元で、四方よし[*2]の事業について考えるひがしなりソケットのような機会に出会いました。「自分がやりたいこと、つくりたい未来は四方よしとなっているのか?」という問いを日々投げてもらい、参加者と対話したりしていく中で次第にまわりに仲間ができて、結果として「自分たち」でできることが地域に増えてゆきました。
「早く行きたいなら一人で行け、遠くまで行きたいならみんなで行け」という言葉がありますが、一人一人の一歩がやがて大きな一歩として重なる時に、自分の本業だけではアプローチできなかったことにも、結果として取り組めているようになるのだと思います。
 そういう意味で、福祉分野と他の分野との繋ぎ目をつくりながら、時には解けたりしながらこれからも活動していこうと思っています。
[*2] 四方よし:近江商人の「三方よし(売り手、買い手、世間)」に、世の中の数字や指標に置き換えにくいえない価値や、未来に対する責任などを足した考え方


事例として紹介された車いすギアプロジェクト(福祉用具に多様な選択肢をつくるべく木製車椅子ギアを開発中)や、600年続く伝統行事の復興プロジェクトなど、たくさんの取組が紹介されました

キックオフ後半では、参加者からの質問もあわせたディスカッションや会場全体でのダイアログが行われました。後半からは、地元東成で日本唯一の総合美容支援事業を手がけるトータルビューティ就労移行支援事務所カラーズの矢野真紀子さんも加わり、持続可能なまちづくりやSDGsについての話が展開されました。印象的だったお話の一部をご紹介します。

―― SDGsなどで改めて議論されることは、これまでの社会だと経済的に単一化できないことや手間と捉えられて置きざりにされてきたことも多く含まれています。いざ向き合おうとした時にも、決まった解答があるわけでもない状況の中で、心理的障害というか、どうやってはじめの一歩を踏み出したのでしょうか?

矢野さん

 求職者支援訓練の仕事をしていた時に、発達障害などのグレーゾーンで生きづらさを抱える人たちと出会いました。それがきっかけで就労移行支援事業所カラーズで、そうした利用者の美容分野における職業訓練や資格取得の支援、個性にあったキャリアコンサルティングに携わっています。
私自身もともと得意・不得意の凸凹があり苦労した体験があってまわりの人たちに助けてもらいました。生きづらさを抱える利用者本人が、得意・不得意の凸凹があっても諦めずに何とかしたい気持ちがある限り、資格取得をはじめ就労の応援をしたいと思い、美容分野の総合就労移行支援に取り組んできました。
 私にとっての最初の一歩は、本当に目の前にいる人にできることがあったらやってみるということでした。そしたら結果的に一歩を踏み出してました。振り返れば「大それたこと」ではなく「自分の目の届くこと」を大切にしてきたように思います。それが自分にとっても実感できる報酬にも繋がっていて、そうした充実感が自分にとっては大事なことだと思っています。
 現在は卒業生自らが講師として、またロールモデルとして後輩の指導やサポートにあたってくれるような嬉しい状況に巡りあえています。障害があるなしに関わらず、得意や不得意、人それぞれの色んな凸凹があっても、それを個性として自分らしさとして前向きに捉えて生きていける、そんな鮮やかな色があふれる世の中になったらと思っています。

坂本さん

自分はみんなと違う方向を向き出したくなるのですが、そういう意味では、一歩「踏み出す」ではなく、一歩「踏み外して」ます 笑。でも大事だと思うのは、「うまくいくからやる」ことから「うまくいくかわからないから、やってみる」と思って行動してみることではないでしょうか。普段の仕事でいえば、踏み出す一歩をなるべく身近にできることへと小分けにすることで、継続性も出るし、試しにやってみることへの抵抗が少なくなると思います。
―― 仲間を集めたり、活動を広げたりするにあたって大切にしていることってどんなことですか?また振り返ってみたら大切にしてきたと思うことや、これから何かやってみようと思っている人にアドバイスはありますか?

麻野区長

SDGsは大阪万博のテーマにもなっています。都市としての格や魅力をみんなで高めていけたらと思っています。「SDGs」をビジネス以外の付加価値として考えるよりは、包摂生というか本来の姿のように、全員参加で「持続可能なまちをつくる」ためのプロセスとしていかしていきたいです。そうしたことをみんなで考える環境をつくるのも行政や政府の大事な仕事の1つだと思っています。決まった仕事をしながらも、先の未来にむけて行政も一歩出ようとすることで、既に何か動き出そうとしている人たちを応援したり、アイデアが実行されやすくなる動きをリードしていきたいと思っています。

一川さん

「地方」や「小さく」というフレーズを聞くと、何かネガティブに捉えられがちなのですが、僕は「小さい」は良いことだと感じています。世の中には、マスの大きなニーズには適さないとか、機能的ではないからといって置き去りにされてしまった選択肢がたくさんあると思います。
でも、そうした細やかなニーズに応えていくことは、小さくても実感のある答えが世の中にうまれることだと思うし、いいことだと思います。だから「小さく」まずはじめてみる!
新しいことを始める時には大きなことを最初からやるんじゃなくて、小さなところから始めたら良いと先輩から教えて貰いました。まずは小さく始めてみるということ、小さく始めてみたらあまり不安もなく、物事を始められるのではと思います。

そして最後には、「ひがしなりソケットLAB. 1期生」からの進捗報告プレゼンが行われました。昨年は「人とアートとひがしなり」「SDGsアンバサダー」「ひがさくクリエイト」「働き方研究所」の4つのプロジェクトが誕生し、今年度はアイデアを実行に移すフェーズに入るそう!

当日はショートプレゼンと、関心をもったプロジェクトごとに会場全体でダイアログや意見交換の時間が設けられ、情報を交換したり、仲間を募集したり、次のアクションを考え合ったりと活気に満ちた時間となりました。
“ひがしなり”を舞台に、自分ごとの一歩を踏み出した1期生の皆さんの挑戦は続きます!!


働き方研究所(「働く」や「しごと」をみんな考える場や企画づくり)
仕事に困っている人が多くいると思い、外国人や子育てママに仕事を委託してみるなど、地域の身近なところからしごとをテーマに活動中。だれかの幸せを願い、自分の価値を他者と共有するような「仕事」が増やせないか、みんなの意見を聞きながら活動中。イベントも定期的に開催。


人とアートとひがしなり(地元の町工場の利活用 × アート活動機会の創出)
地元の工業大学の卒業製作とのコラボ報告のほか、町工場の設備をいかしたアーティスト志望者の雇用や創作活動支援構想など、アクションベースの成果や発表が。


ひがさくクリエイト(母子家庭の就労支援、自立支援)
地域共同による支え合いで、持続可能な子ども子育て支援の実現を目指し活動中。ひがしなりソケットの仲間からの紹介で、支援者の就職や、お母さんたちが地元商業高校での製品販売を企画したなど実現した試みとともに、現在も仲間を募集しながら活動中!!


SDGsアンバサダー(東成企業の情報発信)
「東成にはいい会社がいっぱいある!」というのを知ってもらうため、ひがしなりSDGs アンバサダー制度などの実現などを構想中!8月に勉強会を開催予定で、興味関心ある方募集中。

6月にキックオフした「ひがしなりソケットLAB. 2期生」のプログラムは、参加募集期間を経て、いよいよ秋から本格スタートしていきます。勉強会を重ねながら、“ひがしなりを明るく照らす”アイデアがどのように生まれていくのでしょうか。東成をよくするアイデアをお持ちの方や仲間を探している方、SDGsへの取組みに関心がある方は、ぜひお気軽にのぞきに来てください!

★ひがしなりソケットの活動情報は、FacebookページなどSNSからも随時発信中です!!

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